石垣島天文台が令和5年度国立天文台長賞を受賞

 石垣島天文台を連携して運営する6団体が「地域連携による安定運用および広報・教育普及と科学研究への継続的な貢献」という業績により、令和5年度の国立天文台長賞の運営部門を受賞しました。

授賞式にて、国立天文台長賞を受賞した6団体と常田台長との集合写真。(前列左から)﨑山石垣市教育委員会教育長、常田国立天文台長、中山石垣市長、(後列左から)中村琉球大学理学部教授、新田沖縄県立石垣青少年の家所長、通事八重山星の会代表理事、花山石垣島天文台施設責任者。

 国立天文台では研究教育、技術又は事務の各部門において、特に顕著な功績をあげたグループ等に対して毎年度国立天文台長賞の表彰を行っています。今年度は推薦に基づく選考を経て、石垣島天文台を連携して運営する、石垣市・石垣市教育委員会・沖縄県立石垣青少年の家・NPO法人八重山星の会・琉球大学・石垣島天文台(国立天文台)の6団体が選ばれました。自治体が国立天文台長賞を受賞するのは今回が初となります。官・民・学の組織によるユニークな連携で、天文学の広報・教育普及・研究活動を強力に推進してきたことが高く評価され、この度の受賞という結果になりました。

 授賞式は2024年1月15日に石垣島天文台併設施設「石垣市星空学びの部屋」にて行われ、授賞式の様子は国立天文台内にライブ配信されました。授賞式では自然科学研究機構の川合眞紀(かわい まき)機構長による来賓スピーチがあり、まず1月1日の能登地方を震源とする地震について、犠牲となられた多くの方や被災された方々に哀悼の意とお見舞いの言葉を述べたのち、「いずれの研究分野についても現場で活動する研究者・技術者・事務職員の貢献が活動の礎。際立った貢献に対して台長賞が授与されるということで、機関全体が素晴らしさをたたえ、お互いを高め合うきっかけになると思っている」とメッセージが寄せられました。続いて、常田佐久(つねた さく)台長より賞状とクリスタルトロフィーが授与され、各団体より以下の受賞者スピーチがありました。

賞状を渡す常田台長(左)と受賞者(右)(クレジット:国立天文台)

中山義隆(なかやま よしたか)石垣市長「全国の自治体として初めて国立天文台長賞をいただき、大変嬉しく思うと同時に感謝申しあげる。石垣市の美しい星空が天文学や宇宙科学の研究において大きな貢献をしている。今後も石垣市は星空などの地域の魅力を活かしながら、さらなる発展と繁栄を目指していく。」

﨑山晃(さきやま あきら)石垣市教育委員会教育長「石垣島天文台の先生方にご指導いただいて、石垣市の児童生徒に星や天文に関する体験活動などを行ってきた。今後はさらに高校生も含めて連携を発展させ、興味関心を促進することができたら。その意味で地域連携に関する受賞をとても嬉しく思う。」

新田健夫(にった たけお)沖縄県立石垣青少年の家所長「前身である自然の家の設立から数えて45年経った。来年2月の中旬ごろには、利用者はのべ100万人に達する見込み。青少年の家に宿泊する児童生徒を天文台によく案内しているが、ケーブルカーで施設間を結べたらより一層活用できるのではないか。」

通事安夫(とうじ やすお)八重山星の会代表理事「2002年にVERA石垣局が竣工されたあと、南の島の星まつりを主催し、その後2006年に石垣島天文台とむりかぶし望遠鏡が建ち、17年間ここまで育ててきたという気持ち。今後も石垣島の星空を全国的に発信して楽しい観望会を開催していきたい。」

中村衛(なかむら まもる)琉球大学理学部教授「学生が石垣島に来て天文台の施設を利用し、星空を勉強するという授業を前任者が作った。今後の新しい取り組みを学内に呼びかけ、石垣島天文台の研究員を講師として派遣するなど色々と連携している。ただやはりここに施設があるからには施設を使いたい。方法を模索していく。」

花山秀和(はなやま ひでかず)石垣島天文台施設責任者「職員として国立天文台長賞というのは一つの目標だった。賞をいただくことができたのは、日頃から一丸となっている常勤スタッフや連携している運営6者の努力とご協力、さらには市民の方のご理解のおかげ。これからも力を合わせて石垣島天文台を盛り上げたい。」

 地域連携による石垣島天文台の運用に関わる表彰としては、昨年度の古在由秀賞に引き続き今年度の国立天文台長賞と、ありがたいことに2年連続の受賞となりました。石垣島天文台は、2年後の2026年に20周年の節目を迎えます。地域の皆様への感謝とともに、今後も天文学の発展に多方面にわたり一層尽力して参ります。

賞状と記念品のクリスタルトロフィー(クレジット:国立天文台)

関連リンク(随時更新)

八重山毎日新聞

沖縄タイムス